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導入事例・コラム

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導入事例・コラム

2025年8月22日

原状回復費用の交渉を成功させるには?減額実現のポイントを徹底解説

オフィス移転や店舗閉店が決まり、管理会社から原状回復工事の見積もりを受け取ったとき、その金額の高さに驚いた経験はありませんか。「本当にこの金額を支払わなければならないのか」「何か減額する方法はないのか」と悩む企業担当者は少なくありません。


実は、原状回復費用は適切な交渉をすることで、減額することも可能です。そこで、本記事では、交渉の基本から専門家の活用方法まで、原状回復費用を適正化するための方法を詳しく解説します。



原状回復交渉に必要な基礎知識


原状回復費用の交渉について理解するためには、まず「なぜ見積もりが高額になりやすいのか」「なぜ減額交渉が可能なのか」という基本的な仕組みを知ることが重要です。


原状回復費用が高額になる3つの理由


原状回復費用が予想以上に高額となる背景には、賃貸不動産業界特有の構造的な問題があります。


第一に、指定業者制度による競争原理の不在が挙げられます。多くの賃貸借契約では、原状回復工事を行う業者がオーナー側によって指定されており、テナント側が自由に業者を選ぶことができません。競合他社との価格競争が働かないため、見積もり金額が相場より高く設定される傾向があります。


第二に、下請け・孫請け構造によるマージンの重複があります。指定業者の多くは大手ゼネコンですが、実際の工事は下請け業者、さらには孫請け業者に発注されることがあります。各段階でマージンが上乗せされるため、最終的な工事費用が大幅に膨らんでしまいます。


第三に、テナント側の専門知識不足を利用した過剰請求も散見されます。建築工事に関する専門知識を持たない企業担当者は、見積もりの妥当性を判断することが困難で、結果として不適切な請求を受け入れてしまうケースも見受けられます。


減額交渉の正当性


原状回復費用の減額交渉は、決して無理な要求ではありません。テナント側は、原状回復に関する説明を求めることができ、工事内容や費用について、納得できるまで詳細に質問できます。


また、原状回復工事は賃貸借契約書で定められた範囲内で行われるべきものです。契約書に記載されていない工事や、必要以上にグレードの高い材料を使用する工事については、テナント側が負担する義務はありません。


さらに、テナント側には見積もりを精査する権利もあります。工事内容の妥当性、単価の適正性、数量の正確性などについて詳細に検討し、不適切な項目については修正を求めることができます。


原状回復交渉で期待できる減額幅


適切な交渉を行うことで、どの程度の減額が期待できるのでしょうか。


さまざまな減額事例を見ると、場合によっては20%~40%の削減が可能とされています。これは決して小さな金額ではありません。例えば、1000万円の原状回復費用であれば、200万~400万円の削減となり、企業の移転コストに大きな影響を与えます。


業種や物件規模によって減額幅は異なります。小中規模のオフィスではもともと原状回復費用が低くなりやすいため、減額の金額も低くなる一方、大規模オフィスでは数%の減額でも高額なコストカットにつながります。



自社で行う原状回復交渉の進め方と注意点


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専門家に依頼する前に、まずは自社での交渉を検討される企業も多いでしょう。ここでは、自社で交渉を行う場合の具体的な手順と重要な注意点について解説します。


交渉準備に向けた必要書類と情報収集


交渉を成功させるためには、徹底した事前準備が不可欠です。


最も重要なのは、賃貸借契約書と特約の精査です。原状回復の範囲や業者指定に関する条項を詳細に確認し、契約上の義務の範囲を正確に把握してください。曖昧な表現がある場合は、その解釈について事前に整理しておくことが重要です。


次に、受け取った見積書の詳細項目をチェックします。工事内容が「一式」で記載されている項目については、具体的な内訳の提示を求めてください。また、床面積が図面上の壁芯面積で計算されていないか、共用部分の工事が含まれていないかなど、基本的な項目から確認していきます。


可能であれば、相見積もりの取得も効果的です。ただし、指定業者制度がある場合は、比較検討のための参考見積もりとして他社に依頼することになります。この際、相見積もりであることを明確に伝え、実際の工事発注には至らないことを説明するようにしましょう。


効果的な交渉テクニック


準備が整ったら、いよいよ実際の交渉に入ります。効果的な交渉のためには、いくつかの役立つテクニックがあります。


まず、契約書違反項目の指摘から始めましょう。契約書で定められていない工事が見積もりに含まれている場合、これを明確に指摘することで確実な減額が期待できます。例えば、共用部分の工事や、契約書で借主負担とされていない設備の工事などがこれに該当します。


次に、グレードアップ工事の除外交渉を行います。原状回復とは「元の状態に戻すこと」であり、入居時よりも高品質な材料や設備にする必要はありません。壁紙や床材の品質、照明設備のグレードなどについて、必要最小限のレベルまで下げる交渉を行いましょう。


工事範囲や仕様の見直し提案も有効です。例えば、全面張替えが必要とされている箇所について、部分補修で対応できないか検討を求めたり、清掃で対応可能な汚れについては工事対象から除外したりすることで、コスト削減が可能になる場合があります。


交渉で避けるべき失敗パターン


自社での交渉では、避けるべき失敗パターンがいくつかあります。


最も重要なのは、希望金額を先に提示しないことです。「300万円程度まで下げてもらえませんか」といった具体的な金額を最初に提示してしまうと、それが交渉の上限となってしまい、本来可能だった金額までの減額の機会を失ってしまいます。


また、論点が散漫になる交渉も避けるべきです。複数の項目を同時に議論すると、重要なポイントが曖昧になり、結果として満足いく減額を実現できません。項目ごとに順序立てて交渉を進めることが重要です。


さらに注意すべきは、明渡し期日の遅延による損害金発生のリスクです。交渉に時間をかけすぎて工事が間に合わなくなると、遅延損害金を請求される可能性があります。交渉スケジュールを適切に管理し、期日を厳守するようにしましょう。



見積書の適正性を見極めるためのチェックポイント


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原状回復費用の見積書は専門的な内容が多く、一般的な企業担当者にとって内容の妥当性を判断することは困難です。しかし、いくつかの重要なチェックポイントを押さえることで、明らかな問題点を発見することができます。


工事範囲の妥当性確認


見積書で最初に確認すべきは、工事範囲の妥当性です。


契約書に記載されている範囲との照合を丁寧に行ってください。賃貸借契約書や原状回復特約に記載された工事範囲と、見積書の工事内容が一致しているかを詳細に確認します。契約書で借主負担とされていない工事が含まれている場合は、確実に除外できる項目となります。


共用部分工事の除外も重要なチェックポイントです。廊下、エレベーターホール、共用トイレなどの工事費用が見積もりに含まれている場合がありますが、これらは基本的に借主が負担する義務のない工事です。


工事を必要最小限にするための絞り込みも検討しましょう。例えば、軽微な汚れや小さな傷について、必ずしも全面的な工事が必要ではない場合があります。清掃や部分補修で対応可能な箇所については、工事範囲から除外する交渉を行うことができます。


 工事単価・数量の査定


工事の内容だけでなく、単価や数量の妥当性も重要な確認ポイントです。


市場相場との比較を行うことで、明らかに高額な項目を特定できます。同種の工事における一般的な単価を調査し、見積もりと比較してください。インターネットや業界資料などを活用することで、ある程度の相場感を把握することができます。


一式計上項目については、必ず詳細化を要求してください。「内装工事一式」「設備工事一式」といった曖昧な記載では、何にどれだけの費用がかかっているのか判断できません。具体的な工事内容、数量、単価の内訳を求めることで、不適切な請求を発見できる可能性があります。


作業効率性の検証も重要です。同じ作業を複数回に分けて計上していないか、必要以上に多くの作業員や長い工期が設定されていないかなどを確認してください。


隠れた過剰請求の発見方法


見積書の中には、一見すると適正に見える項目でも、実は過剰な請求となっている場合があります。


中でも、重複計上項目の特定は重要なチェックポイントです。例えば、養生費用が複数の工事項目に重複して計上されていたり、同一箇所の工事が異なる名目で複数回計上されていたりする場合があります。


不要なグレードアップの排除も見落としがちなポイントです。入居時の仕様よりも高品質な材料や設備が指定されている場合、原状回復の範囲を超えた工事となるため、標準的な仕様への変更を求めることができます。


夜間・休日工事費の適正性も確認が必要です。明確な理由なく夜間工事が計画されている場合、昼間の工事に変更することでコスト削減が可能になります。



専門家による原状回復交渉代行


自社での交渉には限界があり、より確実で大幅な減額を実現するためには、専門家の活用が効果的です。ここでは、弁護士とコンサルタント、それぞれの特徴と活用方法について詳しく解説します。


弁護士による交渉代行のメリット


弁護士による交渉代行の最大のメリットは、法的代理権による強力な交渉力です。弁護士は依頼者の正式な代理人として交渉を行うことができ、その発言や合意には法的な拘束力があります。これにより、相手方も真剣に交渉に応じる姿勢を示すことが多く、より有利な条件での合意が期待できます。


また、非弁行為リスクの回避も重要なポイントです。弁護士以外の者が報酬を得て法律事務を行うことは弁護士法で禁止されており、これに違反すると刑事罰の対象となります。一部のコンサルタント業者の中には、この非弁行為に該当する可能性のあるサービスを提供している場合があるため、注意が必要です。


さらに、訴訟対応も含めた総合サポートを受けられることも弁護士活用の大きなメリットです。交渉が決裂した場合の調停や訴訟手続きまで、一貫してサポートを受けることができます。


原状回復専門コンサルタントの活用


一方、原状回復専門コンサルタントの活用にも独自のメリットがあります。


業界特化の専門知識と実績により、建築工事の技術的な側面などから詳細な査定を行うことができます。工事の必要性、仕様の妥当性、市場価格との比較など、専門的な観点から精密な分析を行い、効果的な交渉戦略を立案します。


多くの専門コンサルタントが採用している完全成功報酬制は、依頼者にとって大きな安心材料となります。削減に成功した場合のみ報酬が発生するため、初期費用の負担なく専門家のサポートを受けることができます。


専門家を選ぶ際の判断基準


専門家を選定する際には、いくつかの重要な判断基準があります。


まずは実績と成功率の確認が最も重要なポイントです。過去の案件数、平均的な削減率、類似案件での実績などを具体的に確認してください。特に、自社と同規模・同業種での実績があるかどうかは重要な判断材料となるでしょう。


料金体系の透明性も重要です。報酬の計算方法、支払いタイミング、追加費用の有無などを明確に確認し、後日トラブルとならないよう注意してください。



自社に合った方法で原状回復交渉の成果を上げるよう


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ここまで書いてきたように原状回復費用の交渉は、適切なアプローチをすることで十分に成果を上げることができます。


小規模な案件をはじめ、自社で対応できそうな内容であれば、そのまま交渉を進めても問題ありません。しかし、高額案件や複雑な条件のある案件は、専門家の活用を検討することで、より確実な費用削減を期待できるでしょう。


原状回復費用でお困りの場合は、まずは専門家への相談を検討してみてください。多くの場合、無料相談から始めることができ、具体的な削減可能性を事前に確認することができます。もちろん、リロケーションアドバイスにもご相談いただければ、プロとして減額に向けて一貫してサポートを行います。


<参考記事>

オフィスビルを退去する賃借人の原状回復義務|対象範囲・契約上のポイントを弁護士が解説

オフィスの原状回復義務の範囲はどこまで?工事の費用や注意点を解説

「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について

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