導入事例・コラム
2025年7月3日
オフィスの退去費用はいくら?相場・内訳とコスト削減のポイントを徹底解説

オフィス退去を控える企業のオーナー、担当者の方にとって、退去にかかる費用が「いったいいくらになるのか?」は、移転に向けた気になることの一つであるはずです。特に、初めてオフィス退去を経験する場合、何にどれだけ費用がかかるのか見当が付かず、心配になる方も多いでしょう。オフィスを解約・退去する際には、原状回復工事費用をはじめ、二重家賃や解約違約金など様々な費用が発生し、見積書の額に驚いてしまうケースもあります。
本記事では、オフィス退去費用の相場や内訳、コストを抑える方法を網羅的に解説し、退去に伴う不安を解消します。結論から言えば、事前に契約内容を確認して計画的に準備を進めることで、オフィス退去費用は大幅に削減可能です。またプロのサポートを活用すれば、適正な費用で円滑に退去することもできます。
オフィス退去で発生する主な費用
オフィス退去時には、いくつかの大きな費用が発生します。まずはどのような費用がかかるのか、その内訳を整理してみましょう。
原状回復工事費用
オフィス退去費用で最も大きな割合を占めるのが、原状回復工事費用で す。原状回復とは、借りた当初の状態(原状)にオフィスを戻すことで、契約上ほぼ必ず義務づけられています。工事内容は契約書の内容にもよりますが具体的には、パーティションや内装造作の撤去、床や壁・天井の補修、張替え、照明・空調設備の撤去、電気配線・ LAN 配線の復旧など、多岐にわたる工事が含まれます。そして、当然ながら工事規模に応じて費用も高額になりがちです。
なお、原状回復工事費用は敷金(保証金)でカバーされることが多いですが、費用が敷金の額を超えれば差額を追加で支払う必要があります。逆に費用が敷金内に収まれば残額が返金されるものの、実際にはほとんど戻ってこないというケースも珍しくありません(※1)。それだけ原状回復工事にはまとまった費用がかかるため、特に注意が必要な項目です。
二重家賃(賃料の重複負担)
次に注意したい費用が、二重家賃です。これは新オフィスへの移転を伴う場合に発生します。旧オフィスを退去するまでの間も家賃を払い続けながら、新オフィスの家賃も並行して支払う必要があるため、一時的に賃料負担が二重になるのです。一般的にオフィス物件では退去の 3〜6 ヶ月前までに解約予告を行う必要があります。その解約予告期間中に新オフィス探しや内装工事、引越し作業を行う関係で、どうしても契約期間が重複し、1〜2 ヶ月程度は二重で家賃を支払うケースが多く見られます。高額なオフィス賃料を二重で支払うことになるため、移転スケジュールの調整次第では大きなコスト増となり得る点に留意が必要です。
解約違約金
解約違約金は、賃貸借契約の定める契約期間を満了前に途中解約する場合に発生するペナルティ費用です。契約によって金額は異なりますが、例えば「1年未満での解約は賃料○ヶ月分を違約金として支払う」といった特約が定められているケースが多くあります。契約期間中にオフィスを手放す場合、この違約金が余分な出費となります。ただし、契約満了に合わせて退去する場合や、所定の解約予告期間を守って退去する場合には違約金が 発生しないこともあります。いずれにせよ、退去時に想定外の違約金を支払う事態とならないよう、事前に契約書を確認しておくことが重要でしょう。
不要品・残置物の処分費用
オフィス退去に伴い、不要品や残置物の処分費用も発生します。新オフィスに持っていかないオフィス家具、什器類、古い OA 機器などを廃棄する場合、その処理費用を負担しなければなりません。机・椅子などの大型家具やパソコン等の電子機器は産業廃棄物として適切に処理する必要があり、専門の処分業者に依頼すると費用がかかります。廃棄物の量が多いほどコストも嵩むため、不要品の量を減らす工夫が求められます。例えば、使えるものはできるだけリユース(他部署で再利用)したり、専門の買取業者に売却したりすることで、処分費の削減につながります。いずれにせよ、退去直前に大量の不用品が出て慌てることのないよう、早めに整理しておくことが大切です。
その他の費用(引越し代・清掃費など)
上記以外にも、オフィス退去に関連して発生する費用があります。代表的なものとしては引越し費用が挙げられます。オフィスの什器や備品、書類などを新オフィスへ運搬するコストで、移転先までの距離や荷物の量によって数十万円単位の費用が発生します(※2)。また、清掃費用も考慮が必要です。原状回復工事を行う場合は工事業者がある程度清掃もしてくれますが、軽微な修繕だけで退去するケースや、居抜き(現状のまま引き渡す)の場合には専門清掃業者によるクリーニング費用がかかることもあります。さらに、ビルによっては退去時の管理手数料や設備の解約手数料などが請求される場合もあります。このように細かな費用も含めると、オフィス退去には多額のコストが発生することを認識しておきましょう。
オフィス退去費用の相場と目安

具体的にオフィス退去にはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。もちろん物件や条件によって差はありますが、ここでは原状回復費用を中心に相場感を押さえていきます。
原状回復費用の相場
原状回復工事費用は、オフィスの規模や内装の状況によって大きく変動します。目安として、標準的なオフィスビルの場合、1坪あたり約7~10万円前後の単価が一般的な相場とされています。ただし、物件のグレード、内装造作の有無、立地エリアなどによって費用水準は上下します。例えば、グレードの高い大型オフィスビルでは坪単価が10万円以上に達するケースもあり、逆に小規模オフィスで造作が少なければ坪5~7万円程度に収まる場合もあります。
具体例を挙げると、20坪規模のオフィスで原状回復工事一式を行う場合、相場としては140~200万円程度が一つの目安となります 。オフィスの面積が大きくなるほど費用総額は増えますが、100坪を超えるような大規模オフィスでは、工事範囲が広い分、割安な業者に依頼できるかどうかで総額が大きく変わります。現在は資材費や人件費の高騰の影響もあり、数年前より相場が上がっているという傾向も見られます。そのため「昔は○○万円でできたのに」といった感覚でいると、実際の見積額とのギャップに驚くかもしれません。
その他費用の目安
原状回復費用以外の費用についても、大まかな目安を把握しておきましょう。二重家賃については、現在の家賃額に対し退去準備期間が何ヶ月重複するかで算出できます。例えば月額賃料が50万円のオフィスで解約予告期間が3ヶ月なら、最大で150万円程度を二重家賃として見ておく必要があります。ただしスケジュール調整次第で重複期間を短縮できれば負担を減らせます。
次に解約違約金 ですが、こちらは契約内容によって様々です。一般的には1〜6ヶ月分程度が設定されるケースが見られます(契約期間の長短によって変動)。例えば「1年未満の解約で賃料3ヶ月分」などの条件なら、賃料50万円の場合は150万円が違約金の目安となります。もちろん契約によっては違約金が発生しない場合もありますので、自社の契約条件を確認しましょう。
不要品処分費は、廃棄する物量によって大きく変わります。オフィス家具一式を処分するとなればトラックチャーターが必要になり、数十万円規模の費用になることも珍しくありません。一方、処分品が少なければ数万円で済むケースもあります。事前に不要品リストを作り、専門業者から見積もりを取っておくとおおよそのコスト感が掴めるでしょう。
なお、引越し費用については移転距離と荷物量次第ですが、こちらも小規模オフィスなら十数万円、大規模移転なら100万円を超えることもあります。これらの費用も含め、退去に伴う総コストを把握しておくことが肝心です。
オフィス退去費用を抑えるためのポイント

ここからは、退去コストをできるだけ抑えるために有効な対策や工夫を紹介します。計画段階からこれらのポイントを意識して、無駄な出費を減らし、スムーズな退去を実現しましょう。
賃貸契約条件の事前確認と計画的な準備
まず基本となるのは、契約内容を十分に確認し、早めに退去計画を立てることです。賃貸借契約書には、解約予告の期限や違約金の条件、原状回復の範囲といった重要な事項が記載されています。退去が決まったらすぐに契約書を再確認し、いつまでに何を行う必要があるか洗い出しましょう。特に解約予告が遅れると退去時期を延ばさざるを得ず、二重家賃が発生する期間が長引く恐 れがあります。また、原状回復工事や不用品処分には時間がかかるため、少なくとも退去の10ヶ月前には社内で移転プロジェクトを立ち上げ、スケジュールと予算の計画を始めることをおすすめします。
原状回復工事範囲の見直し・交渉
原状回復費用を抑えるには、工事の範囲を適切に見極め、交渉することも重要です。契約上必要な原状回復の範囲はどこまでか、貸主と事前に擦り合わせを行いましょう(※5)。場合によっては「その設備は残しておいても良い」「次の入居者がそのまま使うので撤去不要」といった合意が得られるケースもあります。また、通常損耗(経年劣化)まで含めて請求されそうな場合には、本来借主負担でない部分を支払わなくて済むよう主張することもポイントです。専門知識がないとなかなか難しい交渉ではありますが、納得できない費用項目があるときは遠慮なくオーナー側に説明を求め、削減の余地を探りましょう。
複数業者からの見積もり取得・業者選定
原状回復工事や不用品処分を自社で手配できる場合は、複数の業者から見積もりを取って比較検討することが有効です。一社だけの見積もりでは、それが高いのか安いのか判断が付きません。
信頼できる原状回復工事業者や廃棄物処理業者を数社ピックアップし、現地調査の上で詳細見積もりを出してもらいましょう。相見積もりを取ることで、適正価格の相場感がつかめるだけでなく、業者間の競争により価格交渉の余地も生まれやすくなります。
オーナー指定の業者しか使えない場合は難しいものの、その場合でも第三者の専門家にセカンドオピニオンを求めるなどして、提示された見積額が妥当かチェックすることをおすすめします。
不用品の削減・早期処分の徹底
退去時に不要となる什器・備品は、できるだけ減らしておくのが鉄則です。前述のように、不用品が多いほど処分費用がかさみます。オフィス移転が決まったら、早い段階で社内の物品整理を行いましょう。
使っていない家具や古い機器類は、移転前にリース返却やリサイクル業者への売却、社内他部署での再利用などを検討し、廃棄する物を減らします。それでも出る不用品については、退去間際ではなく前もって回収業者に依頼し、余裕を持って処分を進めておくと安心です。早めに動けば、繁忙期を避けた回収日程の調整も可能になり、費用の割増を防げる場合があります。
対応可能な作業は自分たちで行う
コスト削減のため、自分たちでできることは極力自社内で対応することも検討しましょう。例えば、観葉植物や細かな備品類の撤去・運搬、簡単な清掃作業など、専門業者に頼まなくてもできる作業は社内の人手を使えば費用を節約できます。
また、壁に画鋲の穴が空いている程度であればホームセンターの補修キットで塞ぐなど、軽微な修繕を自力で対応する企業もあります。ただし、専門的な工事はプロに任せるべきでしょう。無理に手を出すと逆に損傷を広げてしまう恐れもあるため、対応可能な範囲を見極めた上で取り組むべきです。
オフィス移転のタイミング調整
見落としがちですが 、オフィス移転の時期選びも費用に影響します。引越し業者の費用は繁忙期(一般的に年度末の 3 月前後)に高騰するため、可能であればオフシーズンである時期に移転作業を行うと、割安な業者を手配しやすくなります。また、原状回復工事についても、多くの企業が退去する時期は業者の予約が集中しやすい傾向があります。移転時期に融通が利くのであれば、あえて繁忙期を避けて計画することで、工事費用や引越し費用の割引が受けられる可能性があります。
専門家への相談も検討する
もし「自社だけでは適正な費用か判断できない」「見積もりが妥当か不安」という場合は、オフィス移転の専門コンサルタントや費用削減サービスに相談することも選択肢の一つです。
原状回復費用の査定やオーナー側との交渉を専門に行うプロに依頼すれば、自社では難しい大幅なコスト削減が見込めるケースも あります。特に最近は完全成功報酬型で、削減できた分の一部を成果報酬として支払う仕組みを取るサービスも登場しています。このようなサービスを利用すれば、削減額がなければ費用もかからないため、リスクなく専門的なサポートを受けられます。自社内のリソースに限りがある場合や、初めてのオフィス退去で勝手が分からない場合には、プロの力を借りて効率的に問題を解決するのも賢明でしょう。
適切な対策で退去費用の不安を解消しよう

オフィス退去に伴う費用は、原状回復工事費用を中心に多岐にわたりますが、事前準備と工夫次第で大きく削減できる可能性があります。相場や内訳を理解し、契約条件を踏まえて計画的に進めることで、不要なコストを抑えて円滑に退去手続きを完了できるでしょう。
それでも「本当にこの費用で合っているのか?」と不安が残る場合は、専門家の力を借りることで解決への道が開けます。当社、リロケーションアドバイスのようなオフィス退去費用削減のプロに相談すれば、第三者の視点で適正な見積もりかを評価し、オーナー側との交渉まで任せることが可能です。相談は無料ですし、成功報酬型で対応しているため、まずは気軽にご相談ください。専門家のサポートを上手に活用し、退去費用の不安を解消して次のステップへ踏み出しましょう。
<参考記事>
※1…オフィス・事務所の敷金の相場は?保証金との違いや敷引制度を解説【宅建 士監修】
※3…2020年4月法改正によって明確化される「原状回復」の考え方



